大学教育の役割とは?
皆さんはなぜ大学に行こうと考えましたか。現在、我が国の大学進学率は50%程度です。大学進学率が非常に低い時代は、大卒者であるというだけでエリートでしたが、現代ではそうではありません。かつて「大学はレジャーランド」等と言われた時代もありましたが、遊んでいるだけで何の力も身に付けなければ、知識を持つだけでなくその知識を使って社会が抱える課題を解決できる人には勝てません。人やモノの移動が良いになった現代では、競争相手は世界中にいます。大卒者であることが希少価値を持たず、知識量ではコンピュータに勝てず、そして、大学生の間に高い能力を身に付ける人が世界中にいる時代において、我が国の大学教育の役割とは一体何なのでしょうか。社会が変化すれば、大学の役割も必然的に変わります。その一方、社会の変化に影響されることなく存在し続ける大学ならではの役割もあるはずです。特に大学の教育において、変わらず果たし続けるべき役割とは何か、逆に現代社会ならではの役割とは何かについて考えています。
大学で身に付けるべき力とは?
現代社会で大卒者が社会に出る際に問われるのは、大学生活を通じて何ができるようになったかです。そうした中で各大学は、学生が知識をただ覚えるだけでなく、社会を生き抜くために必要とされる力、例えば、課題発見・解決力や論理的思考力を育成しようと様々な取り組みを行っています。そうしたすべての力と深く関わるのが言語表現力であり、そうした力は1つの授業だけでなく、入学から卒業に至るまで一貫した方針に基づいて育み続けなければならないと考えています。いくらか専門的にいえば、体系的カリキュラムに基づく教育が重要だといえます。言語表現力には、文章表現(レポート等)と口頭表現(プレゼンテーション等)があります。どちらも大学での学習をうまく進めるためにも、また社会生活を円滑に行うためにも必要不可欠な力です。どれだけ良いアイディアを持っていても、他者に伝えることができなければ実現することはできないでしょう。課題発見・解決力や論理的思考力は確かに大切ですが、最終的に他者に向かって表現できなければ誰にも気づいてさえもらえません。だからこそ、言語表現力が重要となるのです。