水産学部 水産学科

教授

小松 正治

水生生物がもつ毒と薬

人間の健康の保持・増進に影響する水生生物が作り出す物質

解析対象のタンパク質が蛍光を発する細胞

 水の中の生き物のなかには、人間にとって有用あるいは有害な成分をもつものが数多く存在します。また、研究対象として手つかずの生物資源も多く残されています。このような有用成分を含めてどのような物質であっても、大過剰に体内に摂取されると毒性を示します。しかし一方で、私たちの体にはこのような外界からのストレスに対抗するための生体防御機構が備わっています。
 私の研究室では、化学物質が生物、特に人間の細胞に対して及ぼす影響を冒険小説の「宝探し」と推理小説の「謎解き」と似た要素をもつ実験で調べる「ケミカルバイオロジー」研究をしています。研究テーマの一つとして夏の湖などで発生するアオコ(※1)に由来するマイクロシスチン(※2)と呼ばれる化合物の働きを研究しています。この化合物は、人間や動物の肝臓の細胞に作用することが知られています。そして、その作用の仕方の違いにより肝細胞の死滅、増殖の活性化、そして性質の変化を引き起こすユニークで多様な働きをし、健康に影響します。そこで、この化合物が働くメカニズムの解明(謎解き)とともに、その毒性を抑制する物質の探索(宝探し)や作用メカニズムの解明(謎解き)、そして生体防御に関わる細胞内の営みを明らかにとする謎解き研究をしています。 

食品のベネフィットとリスクの理解

研究室のセミナー風景

 どのような食品であっても人間の健康にとってゼロリスクのものは存在しません。魚介類に目を向けますと、魚介類には私たち人間にとってとても有用な成分が数多く含まれていますし、魚介類を食べる以外に効率よく摂取できない成分も数多く存在します。
 例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)がその代表格であり、高純度EPA誘導体は動脈硬化症や高脂血症の治療薬として認可されています。一方、魚介類、特に食物連鎖の上位魚種や寿命の長い魚種の体内には有害な重金属類などが蓄積していることがあり、注目を浴びることがあります。また、重金属類の一部には、それらの毒性を利用して抗がん剤などとして認可されているものも知られています。
 そこで、水生生物が示す有用性(ベネフィット)と有害性(リスク)に関する正確な情報を知ることが重要であり、私の研究室では重金属類や医薬品として認可されている重金属製剤などに対する細胞応答を分子レベルで研究しています。

用語解説

(※1)アオコ 高水温の夏場に富栄養化が進んだ湖沼等でシアノバクテリア(藍藻類とも呼ばれる)が大量発生し,水面を緑色に覆いつくす状態。
(※2)マイクロシスチン 多種あるシアノバクテリアのなかである限られた特定の種が産生する肝毒性を示す化合物で,水道水への混入がないように水質管理・監視がされている。

Profile

水産学部 水産学科

教授

小松 正治

 2006年鹿児島大学大学院連合農学研究科博士課程修了。博士(水産学)。日本学術振興会特別研究員PD,鹿児島大学医学部附属腫瘍研究施設研究員,鹿児島大学医学部助手,助教,ドイツがん研究センター博士研究員,鹿児島大学水産学部助教,准教授を経て、2017年より現職。現在の専門は,分子細胞毒性学,マリンケミカルバイオロジー。主な担当授業科目は,公衆衛生学,先進資源利用科学,食品化学。主な論文にマイクロシスチンLR等の水圏化合物,重金属類、抗がん剤耐性機序などに関する国際英文誌が多数。

学生(受験生)へのメッセージ

 私は,生命科学に関する様々な分野の研究を経験し,現在では学際的でかつ専門性のある生命科学研究に携わっています。大学は専門的な学問や研究の場です。若い皆さんには,専門的な学問や研究を体験することにより,学問や研究の楽しさを知り,自分自身のアイデアで新しい事象・現象・メカニズムなどの発見を体験する喜びを味わって欲しいと思います。得られた研究成果を社会に役立てることをめざすはもちろんのこと,このような研究の経験が人間力を磨き,立派な社会人に成長するための礎になります。

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