マダニは白亜紀の羽毛恐竜の血を吸っていた

ミャンマーで見つかった琥珀から羽毛恐竜に寄生していたマダニが発見されました。このマダニは新種として「ドラキュラ」にちなみ「デイノクロトン・ドラクリ」と名付けられました。このマダニは約1億年前と推定されましが、現在の人や動物に寄生して吸血するマダニと姿は一緒です。恐竜が絶滅しても、マダニは今でもしつこく生き残っています。驚くべきはその生存能力です。マダニは適応能力が高く、飲まず食わずでも長く生きられ、その中には長命で10年ほど生きるものもいます。一般的なマダニは、オスとメスの交尾により子孫を残しますが、メス個体のみでも繁殖可能なフタトゲチマダニというマダニがいます。このマダニは、亜寒帯から温帯の幅広い地域に住み、日本、中国、韓国、オーストラリア東部、ニュージーランドに生息しています。最近ではアメリカニュージャージー州でも発見され、どんどん生息域を拡大しています。このようにマダニは「不思議な生物」ですが、人獣共通感染症の原因となる病原体を媒介する害虫でもあります。蚊と比べて、マダニが媒介するウイルス、細菌、原虫は多く、その唾液自体もまひなどの症状を引き起こす毒素を含む場合があります。
マダニの生物活性分子は創薬として活用できないか

マダニはクモやサソリと同じ節足動物の仲間であり、人や動物に寄生して吸血します。マダニは蚊と同様にウイルス、細菌、原虫を媒介する媒介者として知られています。人や動物はマダニよってこれらの病原体に感染すると重篤な症状を引き起こし、時には死に至ることがあります。しかし、マダニはこれらの病原体に感染しても、滅多なことでは死にません。私は「不思議な生物」であるマダニに興味をそそられ、「吸血によって生じる酸化ストレスに対するマダニの抗酸化機能」、「病原体侵入時のマダニの初期免疫機構」、「マダニの病原体媒介能」について、日本国内優占種であるフタトゲチマダニを用いて日々研究を行ってます。このように、私はマダニの防圧とマダニ媒介性病原体を阻止するための技術基盤を確立することを目指しております。また、得られた研究成果の中で、新しく見つけたマダニ生物活性分子が人や動物に対する創薬として活用できないか日々考えております。マダニは吸血時に抗凝固物質を分泌し、血液を凝固させないようにしながら吸血しています。もしこの抗凝固物質を人工的に作り出すことができたら、抗血栓剤として動脈硬化の治療に使えるのではないでしょうか。