蓮の葉上の水滴を見て、新しいカプセル作製法を思いつく
蓮の葉の上では、水滴はきれいな球状を保つことができます。普通は、水を固体表面の上に滴下すると、濡れ広がってしまい球状の水滴とはなりません。これは、蓮の葉の表面が特殊な構造をしているためです。この液体をはじく固体表面上で作られた球状液滴は、色々な可能性を秘めています。
私は、この球状液滴を利用してカプセルを作る技術を開発しました。この技術を使うことにより、様々な物質をカプセル内にほぼ100%の効率で封入できます。また、物理化学的な手法を駆使することで、カプセルの内部構造を色々と変化させることもできます。
1滴を自在に操る
固体表面上の液滴は、薬・化学物質を作るための微少な化学反応器やセンサーとして利用できます。液滴の中で化学反応を効率よく進めるためには、その内部を撹拌することが必要です。しかし、小さな液滴内部を撹拌することは困難です。そこで私は、磁性を持つナノ粒子を液滴内に加え、それを外部磁場で駆動することにより、効率的に撹拌できることを見出しました。さらに、この手法を応用することで、液滴を固体表面上だけでなく水上も自由に移動させることができます。