理学療法とは…
私の所属している「医学部保健学科」は医療従事者(コメディカル・スタッフ)を養成する学科で、「看護学(看護師・保健師・助産師)」「理学療法」「作業療法」の3専攻から成っています。私は「理学療法士」の国家資格を有しています。「理学療法士」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るための徒手的・物理的・環境的にアプローチする職種です。リハビリテーションという言葉を耳にすると思いますが、リハビリテーションを行う医療専門職種のひとつです。身体に何かしらの障害を呈したら、まずは医療機関で医学的診断と治療が行われることが多いと思いますが、入院できる日数は限られています。私たち理学療法士が行うリハビリテーションは、その方の日常生活動作(Activities of Daily Living)向上はもちろんですが、QOL(Quality of life)向上も必要な視点になってきます。在院期間中は理学療法士がマンツーマン指導でアプローチできますが、退院してからは医療保険や介護保険制度を利用しても入院中ほどのリハビリテーションを受けることは難しいことが多いのが現状としてあります。また、いつまでも医療専門職種者が常時フォローできるわけではないので、その方自身がご自身の障害と向き合うことが必要になります。その中で、スポーツ(競技性のあるスポーツに限局せず広域的な意味でのスポーツ)は社会参加、健康増進、精神的充足感など競技性を追及するためだけではない効果があります。
パラスポーツとしての関わり…
2021年に東京オリンピック・パラリンピックが、2023年に地元鹿児島で燃ゆる感動鹿児島国体・全国障がい者スポーツ大会(かごしま大会)が開催され、障がい者スポーツ(パラスポーツ)の社会的な認知も広く知れ渡ってきました。私は、障がいを呈した方が社会参加のきっかけや社会との繋がりをもてるようにさまざまな活動をしています。また、健常者のスポーツとパラスポーツの大きな違いが、障がいの種類や程度でカテゴリー化された「障害区分」が設けられていることです。理学療法士としての医療の知識・評価技術を生かして、障害区分判定にも携わっています。また、毎年開催される全国障がい者スポーツ大会には鹿児島県選手団の役員として、さまざまな障がいを呈した選手と大会期間中ともに活動し競技のみならず、移動や生活などのサポート、看護師と連携し健康管理など医学的側面でのサポート、またトレーナーとして理学療法士も帯同していますのでその連携など行っています。練習会には学生もサポートメンバーとして参加し、教科書で学んだ疾患や障がいに対する理解や福祉用具などの知識も一緒に学んでいます。